佐藤 暢 20040615

世界唯一の宇宙旅行テーマパーク in 北京
〜 科学技術振興・アトラクション・青少年教育・観光PR 〜


宇宙旅行テーマパーク「太空游主題楽園」パンフレットより

詳細なPDF版は こちら

中国北京市の海淀展覧館では、2004年4月18日から8月26日までの期間限定で、世界でただ一つ「宇宙旅行」を楽しめるアミューズメントテーマパークが開催されている(現地名称は「太空游主題楽園」)。中国の科学技術振興施策を知る一環として、私がここを訪れたのは、2004年6月1日のことであった。

 中国では6月1日が「子どもの日」であるという。この日、午前中には昨年10月に中国初の有人宇宙飛行を果たした楊 利偉さんを特別ゲストに迎え、大盛況だったそうである。
 私が訪れたのは午後3時過ぎであり、そのイベントは終了していたが、現地の小中学生団体を中心としたお客の出入りは多く、まずまずの活況を呈していた。

宇宙旅行テーマパークが開催されている北京海淀展覧館の前景

 展示テーマとしては、宇宙体験区や月面体験区など8つのコーナーが設けられ、無重力の月面歩行や、4D映像による宇宙飛行の疑似体験等を通じて、宇宙の神秘や科学、人類が思いをはせてきた夢とロマン、また、夢の実現のための技術開発の歴史などを楽しく学ぶことができる。

 テーマパークはいわゆる「インドア型」であるが、中は広い。説明員の話を聞いたり、疑似体験をしたり、ちょっと夢中になって遊び出せば、半日は過ぎてしまうだろう。混雑時には待ち行列なども考えると、一日あっても物足りないかもしれない。
 
 当展示館を企画・運営するのは、米中合弁の民営企業である(現地名称は「北京美中時代文化発展有限公司」)。国際渉外担当の管 渤さん(常務副社長)に話を伺った。

左:管 渤 常務副社長    右:筆者

今回のテーマパーク開催に要した準備費用は約520万ドル。中国民営の投資会社等から資金提供を受けた。
 もともと2008年開催のオリンピック関連事業の一環として、一般観光客のオプショナルツアーポイント、聖火リレーの一中継地点といった位置づけで計画されていたのだが、国家レベルの青少年教育事業として取り上げられたことから、企画・運営事業が急展開した。昨年5月に企画を練り直し、10月に基本コンセプト設計を終了、本年4月オープンという突貫ぶりである。準備期間と資金等の制約から、当初計画の8割程度の規模にとどまっている。また、当初は上海も開催地候補に挙がっていたが、文化産業振興事業の一環として認められたことから、北京での開催が決まった。

 運営会社の社長は、アメリカでメディア分野の研究・実務の経験がある。また、ハリウッドのプロフェッショナルグループが企画・運営に参画している。ハリウッド、ならびにNASAケネディ宇宙センターから、多くの資料提供を受けたという。たしかに、中国のロケット開発の歴史もさることながら、アポロ計画、コロンビア事故、米ソ宇宙競争などの展示コーナーも充実しており、全般にアメリカの資料が多い印象を受けたのは、上記の背景によるものであろう。また、疑似体験や映像空間などエンターテイメント空間の色彩が色濃く感じられるのも、ハリウッドならではの演出効果といえよう。

アポロに乗って月面着陸

現在、当館は中国で大きな栄誉を3つ獲得している。(1)全国少年教育拠点としての国家からの認定、(2)科学人材教育の記念事業としての北京市海淀区からの認定、(3)中国初の宇宙飛行士、楊 利偉さんによる、宇宙展示館としての当館の表彰・認定。
 来場者数は公表されていないが、毎月約10万人を見込んでいる。今のところ、お客の入りは上々で、当初は子どもの団体を期待していたが、予想以上に一般客が増えている。この日の午前のイベントも、来場は子どもに限定し、大学や一般ツアーの申し出を断ったほどである。
 
 8月26日の閉館後については、すでにいくつかの地方都市から開催誘致が来ているほか、北京市内の別の展示館等からの誘いもあり、予想外に反響が広がっている。
 現在、中国では青少年教育、とくに「科学技術人材の育成」が国家レベルでの施策課題となっていることから、当テーマパークは、こうした流れに乗ったビジネスを展開しているといえる。
 スケジュールの都合により、映像空間や疑似体験を十分に楽しめなかったことが悔やまれたが、中国の宇宙産業への熱意を感じるひとときであった。

宇宙旅行テーマパーク「太空游主題楽園」 in 北京
   入場時間:8時〜21時
   入場料:大人68元、学生48元
   URL http://www.spacetravel.cn/

宇宙飛行中のクルーとの疑似通信体験には興味津々