佐藤 暢 20040707

ALOS利用協議会 設立全体会合に参加して

その1
(ALOS
利用協議会は、MOTの実践の場となりうるか)

その2
(講演と対話:坂田俊文 vs. 青木豊彦 2人の「夢」と「志」)


ALOSイメージ(JAXA

詳細なPDF版は こちら

    
ALOS利用協議会および設立全体会合の概要

 2004年6月30日に、財団法人リモート・センシング技術センター(RESTEC)が主催する「ALOS利用協議会」の設立全体会合が開催された。当社スタッフの多くは、地球観測の利用推進(利用マーケティングや技術動向、国際動向の調査コンサル等)に関わってきた経験があるが、ここでは、筆者の一個人としての所感を簡単に述べたい。

 ALOS利用協議会そのものについては、すでに新聞報道等で紹介されているし(たとえば「知財情報局」)、RESTECのホームページにも詳しく出ているので、ここでの紹介は省略する。また、「ALOSとは何か」という点については、宇宙航空研究開発機構(JAXA)ホームページ等を参照されたい。

 会合当日は、会場となった東京大学先端科学技術研究センター4号館の大講堂が大入りになるほどの盛況であった。JAXA、RESTEC等主催者関係者、大学等研究開発関係者、そしてメーカや情報サービス業等の民間企業者といった、地球観測衛星事業に関係する方々が多く集まり、業界全体からの期待が感じられた。

 今回のように、衛星利用拡大に向けた、産学官が一体となったオープン形式での協議の場は、宇宙関連では例が少ないこともあり、関係業界の多くの関心を呼んだことは間違いないであろう。



    
ALOS利用協議会の狙いと今後の方向性について(雑感)

 本利用協議会の事務局長を務める森山 隆氏(RESTEC利用推進部長)による設立趣旨説明や、これまでの報道発表等を筆者なりに解釈すると、協議会設立の狙いは大きく以下の3つに集約できるであろう。@「利用・応用」の定着化(研究開発からさらに一歩先へ)Aサービスの標準化(データ標準化からさらに一歩先へ)BGISと連動した次の展開(GISアクションプラン2002-2005からさらに一歩先へ)。

 「ビジネス分野での利用拡大には複数衛星、継続運用がカギである」という点については、とくに民間ビジネス分野や行政実務機関での利用推進に向けた大きな課題として、かねてから指摘されているところである。したがって、本利用協議会の活動の活性化、ならびにALOSのビジネス利用推進のためには、参加企業等のさらなる拡大を図りつつ、参加者の期待を裏切らない活動を継続していくことが課題であるように思う。

 たとえば、地方の企業団体や経済産業団体などへの活動の拡がりを志向するのもひとつの方向性であろう。とくにビジネス利用の観点からは、従来の宇宙開発関連企業だけでなく、情報サービス産業、教育機関、報道機関、広告代理店や広報企画関連企業等、幅広い分野への裾野の拡大も、今後ますます重要になってくるものと思われる。



    
ALOS利用協議会は、MOTの実践の場となりうるか

 衛星データの利用拡大のプラットフォームとしては、やはりGISがその基盤的な役割を果たすことになるであろう。ALOSに限らず地球観測衛星からのプロダクトは、地理情報システム上で展開できるコンテンツとしての利用価値がある。とくにALOSのプロダクトは、土地利用や災害情報といった分野での利用の期待が高い。

 すなわち、「GISを技術基盤として、衛星データの利用拡大と応用化推進を如何に図っていくか」という点が問われることになるように思われる。ビジネス利用の観点からいえば、これは「技術をベースとしたビジネスモデルの構築」という、経済産業省を中心に近年強く推し進めるMOT(Management of Technology, 技術経営)の基本的なコンセプトにほかならないのではあるまいか。GISと地球観測衛星データという、2つの技術をベースにビジネス開発や拡大を志向するALOS利用協議会の方向性は、まさにもう一つの「MOTの実践」であるという印象を持った。

 なお、地球観測衛星事業全体として捉えた場合、利用推進・拡大に向けた活動領域は日本国内にとどまるものではない。とくにアジア諸地域において従来から向けられている日本への熱い期待に如何に応えていくか、といった議論も、本協議会の中で展開できるようになると、ますます面白くなってくると思う。ここにおいても、技術をベースとした事業の展開が問われてくることは言うまでもない。