石毛雅美 20120321




    
マスコミ4媒体広告とインターネット広告の広告費の現状

 2012年1月13日付「特定サービス産業動態統計調査(経済産業省)」において、2011年11月分の各産業のデータが公表されている。 「特定サービス産業動態統計調査」とは、「特定のサービス産業の売上高等の経営動向を把握し、短期的な景気、雇用動向等の判断材料とするとともに 産業構造政策、中小企業政策の推進及びサービス産業の健全な育成のための資料を得る」ために実施された調査である。

 今回取り上げる広告業界に ついても、マスコミ4媒体広告(新聞、ラジオ、雑誌、テレビ)の他、屋外広告、交通広告、インターネット広告などについての広告費売上高が 発表されている。同調査によれば、2011年11月の主要メディアにおける広告費売上高は、前年同月比でマイナス2.7%と減少しているという。 さらに、4大既存メディアとインターネット広告の広告費の比較を行ったデータを参照すると、以下の通りとなっていた。




図1 4大既存メディアとインターネット広告の広告費(2011年11月、億円)
(出典:http://www.garbagenews.net/archives/1884143.html


 ここで注目すべき点は、「インターネット広告」は今回第3位となっているものの、近年では「新聞」を抜き「テレビ」に次ぐ第2位の座を 占めることもしばしばあった、ということである。
http://www.garbagenews.net/archives/1884143.html 参照

 西欧諸国の中にはスウェーデンやオランダのように、急躍進するインターネット広告がTV広告を追い抜きトップに躍り出始めているという ケースもあるが、テレビがメディア広告の主役であり続ける日本においては、インターネット広告はまずは新聞広告や雑誌広告のシェアを 侵食しながら拡大している。
http://zen.seesaa.net/article/240690485.html 参照

 世界的な不況や震災の影響により、企業が広告出稿を控えたことで、マスコミ広告だけでなくインターネット広告も伸びが鈍化している 厳しい状況といえる中ではあるが、今後、日本ではインターネット広告が新聞広告と追いつ追われつする形で、各メディア広告の立ち居地が 新たに確立されていくだろうと予想されている。
http://www.garbagenews.net/archives/1884143.html 参照


    
モバイル広告における傾向

  2010年からスマートフォン市場が拡大したことに伴い、インターネット広告の中でも、スマートフォン広告の動向や、それと同時に 従来型の携帯電話であるフィーチャーフォン向け広告の動向には特に注目が集まっている。

 2012年に発表された調査によれば、2011年5月に比べ、2011年11月度のスマートフォン向け広告の出稿広告主数は、 1.5倍に増加しているという。




図2 スマートフォン向け広告の出稿広告主数/銘柄数推移(2011年5月〜11月)
(出典:http://www.videoi.co.jp/release/20120113.html


 スマートフォン契約数の割合が2015年度末には50%を超えるという予測や、アプリ市場全体も2011年は前年の10倍に成長している という現状から、今後は企業アプリ等の発展と合わせ、スマートフォン広告への出稿が更に進むと予想されよう。
http://adv.yomiuri.co.jp/ojo/tokusyu/20111205/201112toku5.html 参照

 一方、モバイル広告についての別調査(2010年度)によれば、フィーチャーフォン広告への出稿についても、全体で16.9%(前年13.7%)、 BtoC企業では30.8%(前年27.5%)の企業が広告を出稿し、これが増加傾向にあることがわかり、また広告未出稿企業でも全体で13.5%、 BtoC企業では28.0%の企業が「今後の利用意向あり」と回答していることがわかった。更に、フィーチャーフォンにおいてサイト開設済みの 企業では、91.3%の企業にサイトの継続的な運営意向があるという結果も出ており、現状では特にフィーチャーフォン広告を軽視するという 動きにはなっていないようである。

 また、スマートフォン向けに広告を出している企業調査でも、スマートフォン以外(PC広告、フィーチャーフォン広告)にも同時に出稿している という広告主の割合が69.9%と高いことがわかっている。スマートフォンとフィーチャーフォン利用者の共存は今後も続くため、スマートフォン 広告への切り替えが進むというよりは、今後も双方の広告出稿が増加していくと考えられている。
http://www.d2c.co.jp/news/2011/20110713-763.html 参照


    
スマートフォン広告における課題や展望

  前述した通り、スマートフォンの契約数については、以下のグラフのように2015年度末には過半数を超えることが予想されている。



図3 スマートフォン契約者数および比率の推移・予測(2011年7月予測)
(出典:http://adv.yomiuri.co.jp/ojo/tokusyu/20111205/201112toku5.html


 このように普及が進む中、スマートフォンは「大液晶画面」「タッチパネル」などの機能に後押しされ、フィーチャーフォンユーザーと比べ Twitterなどのソーシャルメディアを利用している割合が高く、TVなどを始めとする情報をリアルタイムで共有しているなど、情報感度が高い ユーザーを獲得している場合が多い。また、位置情報を活用したクーポンなどのAR(拡張現実)技術などのサービスによって、企業からの アプローチの仕方の幅も広がっており、より高い広告効果が期待できるのと共に、マーケティングデータの収集も実施しやすいというメリットがある。

 今後は、AR技術などスマートフォンならではの新しい表現の形により他媒体との連動が更に促進され、他媒体広告を入り口として 「関与度の高い人から低い人」へとソーシャルメディア上で情報がシェアされる構造で、スマートフォン広告の価値が高まっていくと考えられている。
http://adv.yomiuri.co.jp/ojo/tokusyu/20111205/201112toku2.html 参照

 このような広告効果や特徴をにらみ、広告業者でスマートフォン広告を取り扱う企業の割合は59.6%と高い。しかし提案しても受注に至らない ケースも少なくなく、「クライアントのWEBサイトがスマートフォンに対応していない」と前提部分が追いついていないギャップが広告展開の ネックとなっている現状も指摘されている。今後、利用者の拡大とスマートフォン広告の特徴やメリットが理解されていく経過とともに、 スマートフォン向けのWEB開設や広告出稿が更に増加していくだろう。
http://www.venturenow.jp/news/2011/05/27/1024_012089.html 参照


 同分野のように、新しい成長を見せている市場においては、技術の進化とメリットを享受しそびれることのないよう、常に最新の動向を把握していく ことが望まれる。


    
参考URL

参考1 4大既存メディア広告とインターネット広告の推移をグラフ化してみる(2012年1月発表分)
http://www.garbagenews.net/archives/1884143.html

参考2 経済産業省 特定サービス産業動態統計調査 調査の結果
http://www.meti.go.jp/statistics/tyo/tokusabido/result-2.html

参考3 メディア・パブ:インターネット広告費がTV広告費を追い抜く国が現れてきた
http://zen.seesaa.net/article/240690485.html

参考4 株式会社ビデオサーチインタラクティブ プレスリリース
           〜 スマートフォン向け広告出稿の動向 〜
http://www.videoi.co.jp/release/20120113.html

参考5 スマートフォン市場の動向と考慮すべきポイント
http://adv.yomiuri.co.jp/ojo/tokusyu/20111205/201112toku5.html

参考6 2011年企業のモバイル広告利用動向調査
http://www.d2c.co.jp/news/2011/20110713-763.html

参考7 広告価値を高める紙媒体とスマートフォンの連動
http://adv.yomiuri.co.jp/ojo/tokusyu/20111205/201112toku2.html

参考8 スマホ広告の業界動向、媒体側がスマホ未対応のため提案困難が約6割
http://www.venturenow.jp/news/2011/05/27/1024_012089.html


筆者は技術経営創研 マッチング部 国際産官学連携支援チーム